
一般社団法人日本X線CT医学会 理事長
陣崎 雅弘
画像診断は、この半世紀で飛躍的な進歩を遂げてきました。その中でもX線およびCTは、医療における基盤技術として広く普及し、日常診療を支える存在となっています。放射線医学の領域では、超音波医学会、磁気共鳴医学会、核医学会、IVR学会など、各モダリティに特化した学術団体が存在しますが、X線やCTに関しては、臨床的意義や新規技術の実装を主眼とした横断的な議論を主目的とした学術団体はこれまでほとんど無いように思います。これは、CTが日常診療に深く根付き、あらゆる疾患が対象となるため、あらためて適応を論じたり、活用を広げる議論をそれほど必要としないように感じられてきたためかもしれません。
しかし、近年、Dual-energy CT、Photon-counting CTやMulti-position CTといった新しいCT技術、また、動態撮影や位相コントラスト撮影などの新しいX線技術が急速に発展してきています。加えて、人工知能(AI)やデジタル技術の進展により、撮影や画像解析の在り方も大きく変わりつつあります。これらの技術を臨床現場へ導入することで、診断の質、精度、効率をいかに高めていくのか——この問いに真正面から向き合う場が、今まさに求められているように思います。
こうした背景のもと、最先端CT研究会、断層映像研究会、循環器MDCT研究会の三つの研究会を母体として、2025年に日本X線CT医学会を設立し、9月に第1回理事会を開催致しました。とりわけ、CT開発に深く関わられ、文化勲章を受章されるなど顕著な業績を残され、ノーベル賞に値するとの評価もある高橋信次先生が設立された断層映像研究会の流れを継承できたことは、本学会にとって極めて重要な意味を持つものです。この歴史的意義を踏まえ、その功績を後世に伝えるべく、学会プログラムに高橋信次先生の名前を冠した記念講演を設けることにしました。長い歴史の中で培われてきた知見と精神を受け継ぎながら、新たな学術基盤として発展させていく責任の重さを、強く感じております。
本学会の主眼は、単なる技術紹介にとどまらず、X線・CTを通じて医療に新たな価値を創出する点にあります。撮影法や造影技術の最適化、AIやITを活用した業務効率化、さらには環境負荷低減を志向するグリーンラジオロジーまで、幅広い視点から議論を行うことで、実臨床に直結する知見の共有を目指しています。
また、国際CT学会(ISCT)との連携を通じ、将来的にはアジアにおけるCT学術基盤へと発展することを期待しています。
CTはしばしば成熟した技術と捉えられますが、その可能性は今なお広がり続けています。本学会が、その進化を支える議論と実装の中核的な場となることを願っております。皆様のご参加とご支援を心よりお願い申し上げます。
